首が痛い10の原因と隠された5つの危険な病気

首は重い頭を支えている

首は、毎日私たちの重い頭を支えてくれている大事な場所です。首にこりや痛みがあるととても憂鬱になりますよね。そもそも「首」って、どんな造りになっているのでしょうか?

首は、頚椎(けいつい)という7つのワッカ上状の骨から成っていて、その7つのワッカの間を頚髄(けいずい)という親指ほどの太さの神経が通っています。また、頚椎の周囲の筋肉は首を支える役割を助けています。

首のこりや痛みの原因や病気、首のこりや痛みを解消するための方法をご紹介していきます。

首が痛い原因とは?

1 猫背は首に負担をかける

猫背は、首のこりや痛みを引き起こす原因の中でも、最近特に注目されています。なぜかというと、スマホの時代になり朝の電車の中から帰りの電車に至るまで、1日中と言っていいほど、スマホいじりの機会があるからです。

実は座ってスマホをいじるときのうつむき姿勢は、猫背となることが多いと言われています。猫背と言うと、「背中が丸くなっている人」と思いますが、それだけではなく「耳の位置が肩の位置よりも前方に突き出している」場合も猫背と言われるようです。

私たちの重い頭はもともと、頚椎から腰に至るS字状の背骨の湾曲によって、圧力を分散して支える構造になってます。ですから、スマホいじりによって猫背になると、背骨のS字状の湾曲が崩れ、頭を支える首や肩の筋肉に必要以上の圧力が長時間加わり、首のこりや痛みを起こしやすくなります。

2ストレスは自律神経を乱す

首のこりや痛みには、精神的なストレスと肉体的なストレスの両方が関係していると言われています。これらのストレスは、体の機能を整える働きをしている自律神経を刺激し、その働きを過剰にしてしまいます。

自律神経の働きが過剰になった状態というのは、筋肉が緊張して血管が収縮し、血流が悪くなった状態です。また、血流が悪くなると筋肉に疲労物質がたまりやすくなります。ですから、ストレスを受け続けることで筋肉が硬くなり血液の循環障害によって疲労が蓄積し、その結果「首がこる」「首のこりが取れない」ということになります。

3デスクワークは筋肉を硬くする

デスクワークで同じ姿勢を続けていると、頚椎に負担がかかり首の周囲の筋肉が緊張し、首のこりや痛みを引き起こいします。これは前述した、ストレートネックの原因となっているとも言えるでしょう。

また、デスクワークによって首や肩の筋肉の血流が悪くなると、目の神経に悪影響を及ぼします。そうすると、眼精疲労(がんせいひろう)と言われる目の疲労による障害が起こりやすくなります。

眼精疲労というのは、パソコン作業による目の酷使や度の合わないメガネの使用によって目が筋肉疲労をおこし、目の奥が痛くなったり視界がぼやける、眼球が赤くなる、頭痛、吐き気などの症状が現れるようです。

4枕が合わないと疲れが取れない

枕が原因で首がこったり、痛くなったりすることがあります。枕には、首を休めたり、矯正したりする働きが期待されています。
首は、起きている時には、5-6㎏もある頭部を支えているので、睡眠によって首の疲れをとることは欠かせません。もし朝起きて、首のこりや首の痛みがある場合には、枕の使用が不適切か枕が合っていない可能性があると言われています。

~正しい枕とは~
1.枕のサイズ(高さ)が、自分に合っていること
2.安定した形と素材(沈み込まない)
このように、正しい枕とは、基本的に首に負担かけない枕だということです。

5寝違えるのは疲れている証拠

朝起きると首が痛くて曲がらない、と言うことがあるかもしれません。寝違えと言うのは、①寝返りがうまくうてなかったり寝る姿勢や枕が原因で首や肩の筋肉に負担がかかっておきる場合と、②自分の健康状態が悪く筋肉が硬くなってしまっていることで起きる場合とがあります。どちらの原因であっても、寝違えは首の周囲の筋肉に炎症が起こることで、痛みを引き起こします。

6ストレートネックの人は多い

ストレートネックというのは、頚椎は本来軽く前に湾曲しているのですが、その湾曲が無くなり、縦に直線状に頚椎が並んでしまう状態のことと言われています。頚椎のレントゲンを撮ることではっきり分かるようです。

ストレートネックでは、頚椎の自然な湾曲がないことで、頭を支える力が背骨に分散されず頚椎だけで支えることになるので、首の回りの筋肉に起きな負担がかかり、首が痛くなると言われています。またストレートネックの症状が進むと、頚椎の湾曲が逆になったり、頚椎の椎間板という骨の動きを調整する場所に負担がかかり、頚椎そのものを痛めてしまい、手の痺れや痛み、めまいなどを引き起こします。

このようなストレートネックの原因で一番多いのが、スマホいじりやパソコン作業などによる猫背やうつむき姿勢を長時間続けることです。

7肩こりで首も痛くなる

肩こりが原因で、首のこりや痛みを引き起こすことがあると言われています。なぜなら、肩こりを起こす僧帽筋(そうぼうきん)という筋肉は、肩だけでなく後頚部から背部にかけての広範囲に支配している幅の広い筋肉で、この筋肉を傷めると肩のこりだけでなく、首筋や首の後ろのこり感や痛み、頭痛や吐き気も伴います。

肩こりは、僧帽筋の血液循環が悪くなることで筋肉が拘縮を起こし、こりや痛みを起こすようです。肩こりになりやすい方は、なで肩、猫背、肥満、目の疲れ、冷え性、運動不足、肩に負担をかける姿勢に多いです。

8かみ合わせが悪いと歪みが起きる

歯のかみ合わせが不良で、首のこりや痛みが起こるということもあります。歯のかみ合わせ不良は、抜歯や虫歯、親しらず、歯並びなどが原因で起こると言われています。歯のかみ合わせが100分の1mm狂うだけで、影響が全身に及ぶと言われています。

歯のかみ合わせは、顎のゆがみ→顔のゆがみを生じさせます。また、噛むときの左右のバランスに影響し、顎や付近の骨や筋肉に負担をかけると言われています。ですから、かみ合わせが悪いだけで、首のこりや痛み、肩の痛み、耳鳴、手足のしびれ、めまい、頭痛などの症状を起こします。

9スポーツの事故で頚椎を捻挫する

スポーツでおきる事故も、首の痛みの原因になります。特に、サッカーやラグビー、アメリカンフットボールなどのスポーツでは、頚椎捻挫(むちうち症)を起こしやすいです。

頚椎捻挫というのは、ぶつかったり転んだりしたとき頚椎に大きな衝撃が加わることにより、頚椎の椎間板と言われる場所や靭帯、周囲の筋肉を損傷し、首や肩の痛み、めまい、頭痛、吐き気、手の痺れなどが起きると言われています。

しかし、こうした症状は、頚椎の損傷の程度によって受傷後すぐにあらわれなかったり、後からひどくなったりすることもあるようです。また、レントゲンでは、捻挫を証拠づけるものが写らないことが多いと言われています。

10幼児のが首を痛がる場合はよく観察してあげることが必要

幼い子供が首を痛がる場合には、意外な原因が隠れていることもあるようです。ママが、注意するといいポイントについてご紹介しましょう。

1.首の痛みと喉の痛みを区別する・・・幼い子は痛みをうまく言い表すことができません。ですから、子供が「首が痛い」といった場合には、ママが良く調べてあげてください。発熱、食欲、喉、耳の後ろの腫れ、発赤や水疱など、付随する症状がないかどうか確認してから、病院に行くといいかもしれません。

2.首リンパ腺が腫れていないか確認する・・・子供が首を痛がる内科の病気に「川崎病」があります。川崎病は、首のリンパ節が腫れて痛がる他にも、発熱や発疹、眼球結膜の充血、唇の発赤、手足が腫れるなどの症状が起きるようです。

3.髄膜炎を見分ける・・・髄膜炎を起こすと首の後ろが硬くなり、動かしにくくなると言われています。ですから、首を動かしたときに痛がったり、また頭痛を訴えたりするようです。髄膜炎は早期に発見し早期に治療をしないと命にかかわる場合があると言われています。

首が痛い時に考えられる病気は?

1.頚椎椎間板ヘルニア

頚椎椎間板ヘルニアとというのは、頚椎の骨と骨との間をつなぐ椎間板という弾力のある組織が壊れて起こる病気と言われています。この椎間板が壊れ中の髄核という組織が飛び出し、骨の中心を貫通している太い脊髄神経や脊髄神経から枝のように伸びている手や肩の神経を圧迫し、炎症が起こり痛みが出るようです。

頚椎椎間板ヘルニアの痛みは、首に激痛が起こる場合や鈍痛で始まる場合、手足の痺れから始まる場合など、様々なようです。頚椎椎間板ヘルニアは30代以降の人に多く発症し、原因は加齢や運動のしずぎ、遺伝など複数の要素が関係しているのではないかと言われています。

治療は、症状の程度に応じて、炎症や痛みが治まるまで首にカラーを巻く方法や、椎間板の脊髄への圧迫を除去する手術をする方法があると言われています。

2.頚椎症

頚椎症は、前の項で紹介した頚椎椎間板ヘルニアと症状も原因もよく似ている病気と言われています。頚椎症と頚椎椎間板ヘルニアの大きな違いは、頚椎症は高齢者に多い病気だということです。

頚椎症の原因はまさに老化で、加齢によって首の骨や椎間板が徐々に変形し、脊髄神経や手や肩の神経を圧迫することより首の痛みやこわばり、圧痛などが起こるようです。しかし頚椎症の症状は、首だけでなく、脊髄神経が圧迫されることによる歩行障害や手の痺れ、指の感覚が麻痺する、排尿障害、便秘などがあると言われています。

頚椎症は40-50代から起こり始めるようです。頚椎症の診断には、レントゲンやCTやMRIが必要とされます。レントゲン上では、60歳以上の人の25%に頚椎の骨の老化が見られると言われています。

3.悪性リンパ腫

悪性リンパ腫では、首が腫れる→頚部リンパ節の腫脹が起こると言われています。しかし、首のしこりを触ったり押したりしても痛みが伴わないことが多いようです。悪性リンパ腫の場合、熱が出たり、倦怠感が伴うことが多いと言われています。また、首のリンパだけでなく、足の付け根や脇の下のリンパ節も腫れたりするようです。

首のリンパ節が腫れて痛む症状の原因として、風邪や細菌による頚部リンパ節の腫脹が、考えられるようです。この場合、風邪症状が伴うので分かりやすいかもしれません。また、首のリンパ節が腫れて痛みが出る原因として「癌のリンパ節転移」が考えられると言います。耳や鼻の周囲にできた癌がリンパ節に転移すると、近くにある首のリンパが腫れるようです。

首のしこりを見分けるには、痛みや他の症状だけでは不十分と言えるかもしれません。悪性リンパ腫を見分けるには、血液検査、超音波検査、CT、PET、生検(細胞を直接調べる)などの検査が必要です。重大な病気が隠れている場合があるので、早めに医師の診察や医療機関で検査を受けるほうがいいかもしれません。

4.脊柱靱帯骨化症

脊柱靱帯骨化症というのは、後縦靱帯骨化症、黄色靱帯骨化症、前縦靱帯骨化症の総称で原因となる部位の違いで呼び方が異なるようです。脊椎靱帯骨化症の症状は、首や肩の痛みと痺れ、手や指先の痺れで始まることが多いようです。病気の悪化に伴い足の痺れ、歩行困難、便秘や排尿障害など症状が広範囲かつ重くなると言われています。

このような首の痛みやしびれの原因となっているのは、頚椎の中の靭帯という組織が骨化(血液中の余分なカルシウムが溜まって硬くなってしまう)ことにより、脊髄神経や脊髄から枝分かれしている神経を圧迫するからだと言われています。

この病気は、50歳位以降の男性に多いと言われています。原因には、老化だけでなく遺伝やホルモンの異常、カルシウム代謝異常、糖尿病や肥満、ストレスなど、複数の要因が関係しているようです。

頚椎すべり症というのは、脊椎すべり症が頚椎でおきるケースです。脊椎すべり症の原因は、スポーツなどの激しい動きが原因で脊椎が分離(骨と骨が離れてしまう)することで、骨の並びが徐々にずれてしまう場合と、加齢により脊椎の骨と骨の間にある椎間板と言われる組織が編成し、骨の並びがずれてしまう場合があるようです。

頚椎すべり症では、頚椎の骨が前後にずれることで神経を圧迫し、肩や首の痛み、腕や背中の痛や痺れ、頭痛などが起こると言われています。治療は、コルセットの使用や安静にすること、痛み止めの薬を服用すること、首周りの筋力を強化することなどで、症状が強く出る場合には、骨がずれない様に固定する手術をすることもあるようです。

5.首が回らない時は?

ここまでのところを少しまとめてみましょう。首が回らない!首が動かしにくい!首を動かすと痛い!などの症状の原因となるのは、頚椎の骨や椎間板、周囲の筋肉のトラブルによる首の神経への圧迫だと言うことが分かってきました。

頚椎のトラブルは、寝違えや枕、寝るときの姿勢、同じ姿勢で長時間座っていること、また交通事故や運動での外傷など日常の生活の中に原因がある場合が多いようです。また、頚椎症や頚椎捻挫、頚椎椎間板ヘルニア、胸郭出口症候群など、はっきりとした病名がつけられる場合もあるようです。

頚椎の病気の診断には、頚椎の圧迫の程度を見分けるために、レントゲンやCT、MRIが必要になることが多いようです。首の痛みが長期に続いたり、だんだん痛みが強くなる場合には、早めに専門の医療機関を受診したほうがいいでしょう。

子供の首が急に回らなくなったり、頭が傾いたまま動かない、といった場合に考えられるのが、環軸関節回旋位固定(かんじくかんせつかいせんいこてい)という病気です。環軸関節回旋位固定というのは、簡単に言うと頚椎の亜脱臼で、環軸関節という首を回すときに使う関節の骨が、ほんの些細な衝撃でずれてしまい、うまく回せなくなる状態になるようです。痛みはある場合とない場合があります。

環軸関節回旋位固定は、スポーツにより首に衝撃を受けることが原因になることもあるようですが、多くの場合は、原因となることが思い当たらない・・例えば朝起きたら急に首が動かなくなっていた、ということが多いようです。

首が痛いときは頭痛も併発しやすい原因とは?

首の緊張状態が続くと連動して頭痛に発展しやすい

首の痛みが原因で、頭痛が起きる場合があります。緊張型頭痛と言われる頭痛は、首や肩の緊張が頭痛の筋肉に連動して伝わり、頭痛に発展することで起こると言われています。

緊張型頭痛の症状は、鋭い痛みではなく、頭重感や締め付け感が長く続くのが特徴のようです。症状が重い場合には、めまいや吐き気が起こるとされています。緊張型頭痛は日本人女性に多いとされていて、2-3割の人に経験があると言われています。

緊張型頭痛は、ストレスや運動不足、長時間のパソコン作業などにより、首や肩の筋肉の緊張が高まり、血行が悪くなって疲労物質が溜まることにより、さらに頭痛が引き起こされるという負のサイクルが起こるようです。ですから、症状が重くならないうちに、早めに対処するといいようです。

頭痛と一緒に起こる症状は?

首のこりや頭痛を伴う病気に、頚性神経筋症候群があります。この病気の症状は、首の筋肉の異常が首の神経に影響を及ぼし、体の不調を整えるはずの副交感神経のバランスを崩してしまうことで起きると言われています。

頚性神経筋症候群では、首のこりや痛み、頭重感、めまい、ふわふわする、動悸、倦怠感、意欲がない、など自律神経系のはっきりとしない不定愁訴と言われる症状が現れるようです。症状が重くなると、うつ病やパニック障害、慢性疲労症候群、不眠症などの精神疾患や機能性胃腸症、過敏性腸症候群、機能性食道嚥下障害、 血圧不安定症など身体的な病気になる場合があると言われています。

ですから、頚性神経筋症候群ではもともとの原因となっている首のこりを治すことが、治療の近道とされているようです。首のこりや痛みは、放っておかないほうがいいということでしょう。

吐き気や熱も出る?

首の痛み、頭痛、嘔吐がある場合には、くも膜下出血や脳出血の症状と似ているので、注意が必要です。くも膜下出血で国から脳にかけて走る太い動脈が出血を起こすと、首が硬く動かなくなったり痛くなると言います。また、出血で脳に圧力が加わるので、突然に吐くことがあると言われています。しかし、脳出血やくも膜下出血では、発熱はないようです。

首の痛み、頭痛、嘔吐、発熱を伴う病気と言えば、髄膜炎が一番に疑われるようです。髄膜炎は、脳や脊髄を覆っている髄膜というところが炎症を起こすので、首の後ろが硬く動かせなくなり、強い痛みが走ると言われています。また、ウイルスや細菌が原因となるので、高熱が出るようです。

いずれにしても、首の痛み、頭痛、嘔吐がある場合には、重大な病気が起きている可能性があるので、早めに医療機関を受診したほうがいいでしょう。

首の痛みや頭痛があるときに、病院に行くべきか、行く必要がないか、を判断する上で、以下の点は助けになるかもしれません。

・痛み止めを飲んでも痛みが治まらない
・安静にして休んでも痛みがよくならない
・吐き気や手足のしびれがある
・なんらかの持病がある
このような場合には、念のために医療機関を受診するほうがいいかもしれません。